熱電対とは

熱電対とは

熱電対とは、2種類の異なる金属線を組み合わせ、下記、「測定原理」を用いて対象物の温度を測定できるようにした温度センサーです。

熱電対の測定原理

測定原理としては、図1のように2種類の異なる金属線(合金線)の両端を接合し閉回路を作り、その二つの接続点(接点)に温度差を与えるとこの回路に電圧が発生し微少な電流が流れます。
この現象は『ゼーベック効果』と呼ばれ、また、この温度差によって発生する電圧を『熱起電力』と呼びます。
この起電力は微少な直流電圧で、導体の長さや、断面積、途中の温度分布には影響されない性質をもちます。
そこで、一方の接続点(基準接点)の温度を一定温度(原則として0℃)に保っておき、起電力の値を測定することにより、もう片方の接続点(測温接点)の温度を測定することで、温度を知ることができます。

熱電対の原理回路

熱起電力の測定

熱電対の両接点のうち、測ろうとする温度に保たれている接点を測温接点といい、一定の温度に保たれている接点を基準接点(冷接点)と言います。
図2の(a)は熱電対に直接測定器を接続した場合で、測定器の指示は(Tx-T1)となります。
そこで、実際の測温接点部の Tx ℃の温度を知るためには T1 ℃を設定し、補正する必要があります。
(b)は、一般的な測定回路で補償導線と基準接点装置を設けています。この場合の測定器の指示(起電力)は(Tx-TO)℃となりますが、図のようにTOを0℃に保つと測定器の指示(起電力)はそのままTx℃になります。
一般的な温度測定には、基準接点として氷点式は室温式よりも電気的に補正する補償式基準接点が多く、直接指示(起電力)を読み取るようになっています。

熱電対による温度測定回路

代表的な熱電対

K熱電対 (推奨測定温度範囲 : 300℃~1000℃)

現在、工業用の熱電対として最も多く使用されている熱電対です。起電力特性の直線性が良好で、耐熱性・耐蝕性も比較的高いことが特徴です。
1000℃以下の酸化性雰囲気には優れていますが、還元性雰囲気(特に亜硫酸ガス・硫化水素)には適しておりません。
また、このK熱電対には『ショートレンジオーダリング』(*1)と呼ばれる現象が生じ、350℃~500℃の範囲で使用すると短時間で熱起電力が大きく変化することがあります。尚、この現象は800℃以上で加熱すると正常に戻ります。

T熱電対 (推奨測定温度範囲 : -200℃~0℃,0℃~300℃)

低温での特性が良好である事から、主に低温用として使用されている熱電対です。 200℃以下では熱起電力が安定しており、高精度が得られます。
還元性雰囲気には強いですが、(+)脚側に銅を使用している為高温の酸化性雰囲気での使用には適しておりません。

R熱電対 (推奨測定温度範囲 : 600℃~1400℃)

白金系熱電対の中では最も多く使用されている熱電対です。B熱電対同様、酸化性雰囲気には強いが、還元性雰囲気(特に水素ガス・金属蒸気)には弱いです。
また、熱起電力が小さいため、低温での温度計測に関しては適しておりません。
安定性ともに精度が良く、ばらつきや劣化が少ないといった利点を持つ反面、『感度が悪い』、『補償導線の誤差が大きい』などの欠点も併せもっています。

N熱電対 (推奨測定温度範囲 : 300℃~1200℃)

K熱電対の改良型です。1989年にIEC規格で使用され、実用化されています。 
K熱電対にみられた酸化による1000℃以上の高温での『熱起電力ドリフト』(*2)や『ショートレンジオーダリング』(*1)といった問題が解消され、安全性が強化及び安定した温度指示が得られるように改良されています。
尚、K熱電対と同様に還元性雰囲気には適しておりません。

(*1) ショートレンジオーダリング
K熱電対に特有の現象で、350℃~500℃の範囲で連続で使用すると、組成変化により、短時間で熱起電力特性が変化して誤差が大きくなる現象。
(*2) 熱起電力ドリフト
高温での使用環境の場合、熱電対の熱起電力が変化(低下)していく現象。 (時間あたりの起電力変化量)

熱電対の構成材料

記号の種類 素線材質
+脚 -脚
クロメル(ニッケル及びクロムを主とした合金) アルメル(ニッケルを主とした合金)
コンスタンタン(銅及びニッケルを主とした合金)
ロジウム 13%を含む白金ロジウム合金 白金
ナイクロシル(ニッケル、クロムおよびシリコンを主とした合金) ナイシル(ニッケル及びシリコンを主とした合金)

※:+脚とは熱起電力を測る計器の+端子へ接続すべき脚を砂嘴、反対側のものを-脚という。

JIS C 1602-1995

種類の記号 素線径:mm 常用温度:℃ 加熱仕様限度:℃
0.65 650 850
1.00 750 950
1.60 850 1050
2.30 900 1100
3.20 1000 1200
0.32 200 250
0.65 200 250
1.00 250 300
1.60 300 350
0.5 1400 1600
0.65 850 900
1.00 950 1000
1.60 1050 1100
2.30 1100 1150
3.20 1200 1250

※常用限度とは、空気中において連続使用できる温度の限度をいう。
※加熱使用限度戸谷、必要上やむを得ない場合に短時間使用できる温度の限度をいう。

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